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互恵と寛容の世界を構築するプロジェクトとは?

互恵と寛容の世界を構築するプロジェクトは、2018年4月に開催された比叡山シンポジウム「現代社会における宗教の役割」において長尾真が行った基調講演『心の時代』 に端を発します。

基調講演「心の時代」

この講演において、長尾真は21世紀を「心の時代」と形容し、科学技術の時代を越えて、世界の種々の民族、社会における人々に共通に存在する「心」に光を当て、共通理解を実現する努力をしなければならない、そのためには宗教を改めて捉え直さなければならないと提唱しました。

そして、自身こそ先頭に立って取り組むとの意志を固め、長尾真の長年の盟友である村上陽一郎に声をかけ、「こういう試みは少人数でじっくり議論しながら始めなければならない」(長尾真)という信念の下、神道、仏教、イスラム教の専門家も交えた少人数による研究会において議論を重ねてきました。

そして、2020年、互恵と寛容の精神で世界をふたたび結びつけるという私たちの取り組みを世の中に問うべく、プロジェクトを始動しました。心の時代に求められるパラダイム転換を先取りし、互恵と寛容の精神に基づく社会の構築を先導します。

長尾真からの提言


20世紀までは科学技術をどんどん発展させていくことによって社会は進歩発展していくという概念によって支えられてきたわけです。しかし、これからはそうでなくて、有限の資源を食い尽くさないで済ませられるような社会にしないと地球が亡びてしまう。そういう時代になってきているということで、進歩発展という20世紀までの基本的な概念を捨て去る必要があるということになります。 

現代社会の中で宗教というのはどうなっていく必要があるのか、どうすれば本当の意味で人の心を救済することが出来るのかが問題です。心理学的、科学技術的な形で人間というものをいろいろ研究し、心のケアもやっているにも関わらず、人間は満足できないという事実は確かにあるわけです。それをどういうふうに宗教が取り上げ、人の心を癒すことができるか、救いの手を差し伸べることができるのか、そういうことについて新たに考える必要があるのです。

人間の欲望というものはどうしたら抑えられるか、相手のことを考えながら相互依存をするために、どのような妥協や協力をすることが出来るかが大きな問題になります。科学技術の時代を越えて、世界の種々の民族、社会における人たちに共通に存在する心というものに光を当てて、共通理解を実現する努力をすることの大切さを明らかにし、社会に示すことが求められているのです。

宗教を通して、人類のあり方を捉え直す

宗教には人類の記憶が詰め込まれています。リベラル・アーツとしてはもちろん、人としての根源的なところを支えるものです。宗教を今日的に捉えなおすことを通して、人と社会のあり方を根本から見直し、新たな価値を創造します。

宗教を手段とした異文化の相対的な理解
  • 日本にいながらにして異文化の思考や精神性に触れる
  • 価値の多様性や相対性に対する造詣を深める
  • 海外での活動やグローバル展開の方法論の見直し
  • 外国人人材の獲得と活用
西洋近代を超えた新たな人間像、社会像
  • 経済至上主義から人間至上主義への転換
  • 「超高齢社会」「医療」などの現場に対する方向性の示唆
  • 組織行動や人生における理念・指針の再定義
  • 研究開発の目的や手法の再設定